給与交渉を切り出すタイミングというのは実に難しいものですよね。ただでさえ日本人の気質として「お金の話を持ち出すのは心象を悪くする」という感覚があります。まぁ、最近では米国流ビジネススタイルへの曲がった解釈というか、偏った信奉・盲追というか、面接でも臆することなく、いきなり「いくら貰えるんですか?」と切り出す人も少なくありませんが・・・。
確かに給与は働く上での大変大きな要素です。無用なトラブルを防ぐためにも、雇用契約にサインする前にしっかりと確認しておく必要があります。ですが、給与とはそもそも「仕事の成果に対する報酬」、つまりは「結果」として発生するものです。たとえそれが「期待値」として事前に支払われるものであれ、自分(とその仕事)に対する評価(期待値)が定まらない段階では先方にも判断材料がないわけですから、どのみち交渉は成り立たず、ただ相手の心象を損なうだけになってしまいます。
要は「相手にあなたをどれだけ知って貰えるか」なのです。同業他社からも一目置かれているような方が競合他社へ転職するのであれば、いきなり年俸交渉から入ってもいいでしょうが、殆どの方はそうではないわけですから、まずは相手にあなた(の能力や実績、人となり)を知って貰う作業が先決となります。企業側は書類選考や面接の繰り返しによってあなたへの評価を徐々に固めて行くわけですから、給与条件については基本的には最終選考の席で、ということになります。少なくとも(複数回の面接がある場合には)初回面接時に給与条件に言及するのは(先方から切り出されない限りは)タブーですね。
特に営業職の場合は給与に占めるインセンティブの割合が大きく、あなたの能力次第、努力次第で給与は大きく上下します。一般的に年功序列型の企業から成果主義型の企業へ転職した場合、年俸換算で100万円以上の増収・減収はざらですから、結果を出す前(働く前)から給与にこだわる印象を与えてしまうと「こいつは自信がない奴だ」と看做される虞れもあるわけです。
もっとも、まともな企業であれば、給与条件(固定給/インセンティブの比率等)やモデル給与(経験や実績に対する評価基準等)はどこかで公開されているはずですから、事前準備の段階(面接以前)で意中の企業研究をしっかりと行い、自身の能力や実績、人脈、そしてその企業の商材・商圏・顧客ターゲット等とを客観的に照らし合わせ、予想粗利を弾き出し、そこから適正な対価としての自身の予想年俸をある程度掴んでおくことも大切かと思います。あなたが「できる営業さん」であり、先方がまともな企業であれば、その数字は先方の提示額とほぼ一致するはずですので。
兎にも角にも、転職はあくまでも目的実現のための手段のひとつに過ぎません。今回のご相談ではそもそもの転職の目的・理由がわかりませんが、年齢的にもまだまだこれからの方ですので、目先の給与よりは、ご自身がビジネスパーソンとして、人間として「これから伸びて行けるフィールドがどれだけあるか」を主眼に企業選択(環境選択)をして戴きたいと思います。