ここ数年で星の数ほどに増えた派遣会社ですが、皆さんがよく知る全国規模の大手以外にも、各種業界の一般企業が人事部門を事業化して子会社化したものや個人経営のエージェントまで様々です。まず知っておいて貰いたいことは、それぞれに個性(強みや弱み)があるということ。例えば「特定業界や特定職種にめっぽう強い」「徹底した地域密着型である」「新身なフォローが得られる」など、選択基準次第では、むしろ中小の派遣会社の方に分があるケースが多いですね。要はご自身の目的やキャリアプランに如何にマッチした会社を選べるかなのですが、以下に基本的な着眼点を幾つか列記しますので、ご参考になれば幸いです。
■まず「モグリ」でないこと
まずは基本中の基本なんですが、最近では違法営業している会社もかなりあります。そもそも人材派遣は許認可事業(免許事業)ですので、厚生労働大臣の許可(一般派遣業/有料職業紹介業)が必須です。通常はパンフレットとかWebサイトに許可番号が明記されているはずですが、疑わしい場合は必ず確認するようにして下さい。まともな会社であれば、財団法人日本人材派遣協会(http://www.jassa.jp/)に登録があるはずです。
■社会保険は完備されているか
法人である限りはそもそも社会保険の完備は義務なのですが、実際には加入していない会社が多く、大手でも独自の規定を設けて派遣社員の加入に制限を加えているケースが多々見受けられます。以下に反している場合は違法ですので、必ず確認するようにして下さい。
・雇用保険:週労働30時間以上で半年以上雇用見込み、または週労働20時間以上で一年以上雇用見込みの場合は正社員と全く同一の扱いで、事業主に強制加入義務
・健康保険:週/月の労働時間が正社員の3/4以上の場合は事業主に強制加入義務(罰則規定なし)
・厚生年金:週/月の労働時間が正社員の3/4以上の場合は事業主に強制加入義務(罰則規定なし)
・労災保険:事業内容に依り、雇用形態を問わず、事業主に強制加入義務
■時給・昇給・交通費・有給休暇・福利厚生
これらについても雇用形態による差別は違法です。例えば有給休暇ですが、通常、勤続半年以上で10日以上(但し労働時間・日数に応じた比例付与)が支給されることになります。時給に関しては、同じ仕事でも派遣会社によってかなり開きがあるようですが、これは主に派遣会社が得る手数料比率(派遣先企業からの報酬のうち何割を派遣会社が得て何割を本人に支給するか)の違いです。50%以上の暴利を得ているところも多いのでご注意下さい。単価は一般的には中小の派遣会社の方が(専門色が強いことも加味されますが)高く設定されることが多いです。一方、福利厚生に関してはまちまちですが、派遣会社によっては(大手企業が子会社として経営している場合などで)親会社の福利厚生施設が使えたりする場合もあります。
■交通費の有無
通勤交通費が支給されない、或いは「交通費込みの時給」というケースが結構多いです。また同じ派遣会社でも仕事(現場)によって支給される場合とされない場合があります。必ず確認するようにして下さい。
■派遣会社自体のバックグラウンド(設立背景や資本関係)をチェックすること
事前準備として、ターゲットとなる派遣会社にどのような取引先(派遣先企業)や業種・職種があるかを調べておきましょう。例えば派遣会社自体に系列会社(親会社など)がある場合は、そこに派遣される確率が高いわけです。求人情報紙や求人情報サイトをまめにチェックしていると、その派遣会社に入る仕事案件の傾向とか、派遣されやすい企業などが見えてきます。
■スキルアップ制度はあるか
最近では派遣先企業へ即日勤務というケースもあるようですが、まともな派遣会社であれば、登録時に何日かの(職種に応じた)基礎研修があるはずです。また(これらは一般的には大手の方が充実しているようですが)定期的にスキルアップセミナーを開いていたり、専門学校と提携して(有料・無料にて)様々な講座を開設している派遣会社もあります。バリバリの専門職という方には無用でしょうが、キャリアの浅い段階では、こういう制度を有効に活用できるといいですね。
■親身な相談やフォローが受けられるか
ここが最も重要なところかと思うのですが、多くの場合、最も欠落している部分でもあるんですね。専門のカウンセラーがいる派遣会社は稀ですので、通常は派遣会社の営業さんがコーディネータやカウンセラーを兼務することになります。職場が替わるストレスに対する精神的なケアも必要ですし、キャリアプランを一緒に考えてくれるとか、目的を見据えた仕事をコーディネートしてくれるとか・・・一般的には人間関係が濃厚になる中小の派遣会社の方が手厚い傾向にありますが、結局は担当コーディネータのヒューマンスキルや性格的な相性次第ということになります。くれぐれもパンフレットの宣伝文句や受付の電話トークを鵜呑みにしないこと。このあたりは実際に同じ派遣会社で働いている人からナマ情報を仕入れたり、面接で感触を掴むことが大切です。