中途採用に於いては経験者採用が原則のため、転職先が同業他社になってしまうことも多いと思います。一見なんでもないような同業他社への転職ですが、実は気をつけなければならないことが幾つかあるのです。
●就業規則や雇用契約の再確認
ご質問は面接についてのものですが、まずその前に、現職企業との間の雇用契約や就業規則を必ず確認しておく必要があります。同業他社への転職を禁止したり、一定の制約を課す規定が盛り込まれている場合があるからです。「職業選択の自由は憲法上で保障されているのになぜ?」と思う方も多いと思いますが、これを無制限に認めてしまうことは、企業側にとっては営業利益の損失や機密情報の漏洩に繋がりますので、両者の権利義務関係の間には事実上微妙なグレーゾーンが存在することになります。判例もこれら競業避止契約にある程度の有効性を認めていることから、場合に依っては退職金が減額されたり支給されない、更には違約金や損害賠償が請求される、といったことも起こり得るということです。
●守秘義務について
前項にも関連することなのですが、在職中に同業他社との面接を行うということは、応募の動機と併せ、現職企業の内情について触れざるを得ないことも多いことから、自ずとその場に機密情報漏洩の危険性が生じます。「話していいこと」と「話してはいけないこと」の判別もまた極めて微妙なグレーゾーンですが、たとえ問われたとしても、機密情報をうっかり提供してしまわないよう、発言にはくれぐれも注意する必要があります。また、現職企業の悪口を捲し立てるなどは倫理上も論外です。応募先企業に対しても同じ行為が行われる可能性があると看做されることから、相手側にも決して好印象は与えません。
●転職の動機について
同業他社への転職では(職種転換を除き)そもそも仕事内容自体は大きく変わるわけではありませんので、転職の理由が厳しく問われてきます。事実、同業他社への転職では現職企業への何らかの不満が動機となっているケースが圧倒的に多く、前向きな理由がなかなか見つからないことから、どうしてもネガティブな印象が付きまといます。通常は転職先として複数の同業他社を候補にしていることも多いため、他社への応募状況も必ず訊かれるでしょう。「御社でなければ○○が出来ない」とか「御社の○○が魅力的」など、現職企業や他社との比較に於いて、前向きな差別化理由を明確に答えられるようにしておくことが大切です。