●あなたの視点はどこに?
これまで同じ職場で4年も働き続けていたのに、今になって急に正社員登用の話、という点が少々気掛かりなのですが、もしかしたら「そろそろお子さんに手が掛からなくなって来たので」とか、そういう背景があるのでしょうか。通常、正社員登用という話は前向きに解釈すべきものだと思いますが、不況下では助成金目的等、何らかの裏事情に基づいて行われるケースも多々ありますので、念のため、甘い話であればご注意下さい。
まずはじめに、あなたは正社員になることについて、具体的に何を魅力的とお感じなのでしょうか。給与や昇進といった雇用待遇面でしょうか。お金もたくさん欲しいし社会的な地位も欲しい、でも責任は負いたくない・・・おそらく多くの方が同様の感覚をお持ちなのかとは思いますが、権利の裏には必ず義務があり、責任は(裁量権という)ポジティブな可能性と表裏を成すものです。働きたくても働けない人が大勢いる時代に、正社員登用のオファーが掛かるような人が「ムシの良すぎる悩み」を抱えていてどうするのですか!
●パートなら責任が軽いのでしょうか
余談ですが、私には、スーパーとか、お総菜屋さんとか、ホームセンターとか、「あの人がいるからこそ買いに行く」というお店が何件かあります。そこには必ず頼りになるパートさんがいて、他の人だと商品が見つからなかったり、味が違ったり・・・。こういう人たちの共通点は、いずれも(正社員が太刀打ちできないような)仕事に対する誇りであり、大きな責任感であり、血の通った接客です。そして、それら自体が本来の意味でのブランド(信頼の証・品質の証)を形成し、そのお店を支えているわけです。
ところが悲しいかな、多くの場合、この人たちは正当に評価されていないようです。私が事業家だったら、真っ先にパートナーとしてスカウトしたい優秀な人ばかりなんですが・・・。欧米では、パートと正社員は(労働時間以外は)「同一労働」「同一賃金」が原則なのですが、歪んだ民主主義と封建主義が奇妙に共存する日本では、両者の間にはまだまだ大きな壁があって、パート労働者を蔑むような風潮、パートだからいい加減な労働でいいという風潮すらあります。人々は間違った常識にどこまで隷属しなければならないのでしょうか。
正社員と言えども明日の雇用が保証される時代は終わり、仕事内容や責任が正社員と全く変わらないパートも増えて来ています。いずれを選択するにせよ、ぬるま湯に浸かろうという意識では必ず行き詰まる日が来るでしょう。パートであれ、正社員であれ、プロ意識が求められることに変わりはないのです。二者択一的な選択はもう終わりにしようではありませんか。あなたが正社員になったら、自己の有利不利だけではなく、どうかこういう課題にも立ち向かって戴きたいと思います。