中高年の転職には確かに厳しい現実がありますね。特にエンジニアの場合は(求人が若年層に集中しますので)案件数自体も極めて少ないです。ですが、少ないながらもニーズは確実にあります。むしろ、そのニーズを満たせる人材があまりにも少ない為に、案件自体が発生しにくくなっていると言っても過言ではないかも知れません。そもそも中高年層の採用にあたっては、若年層の採用に比べ、その期待やコストに格段の差が生じます。企業側が採用に慎重なのは当然のことなのです。
では、企業が中高年に求める人材像とはどのようなものなのでしょうか。
多くの求職者が勘違いをしているようですが、残念ながら、中高年のエンジニアに求められているのは技術力ではありません。それは、特定分野での豊富な業務知識、コミュニケーション能力、折衝能力、リーダーシップ、マネジメント能力、倫理観、明確なビジョンなど、いわばデジタル要素(テクニカルスキル)ではなく、限りなくアナログ要素(ヒューマンスキル)なのです。その尺度をもっと簡潔に申し上げるなら、どれだけ人の心を掴み、その能力を引き出せる人間か、ということではないでしょうか。事実、40歳以上の転職では、業界業種や職種の垣根を越えて転職する方が極めて多いです。技術力よりも、人としての成熟度が問われているわけです。
更に、経営感覚や情報収集力も大切です。案件への応募毎に相手企業についての情報収集は充分に行っているでしょうか? 事業内容や事業戦略、業界内での位置づけ・評判、経営理念・経営状況、強み・弱みなど・・・。これらの情報から企業側の求人背景を探り、自己の志向や適性、経験、能力と突き合わせ、そこでの役割を事前に把握し、入社後の展開を明確なビジョンとしてアピールできるよう、準備しておく必要があります。中高年の転職では、むしろ相手企業に代わって求人の背景が答えられる位の方、企画書を持ち込める位の方でないと、なかなか相手にしては貰えない、というのが実情です。
敷居は確かに高いです。ですが、その高い敷居を乗り越えてこそ、チャンスが巡ってくるのです。企業によっては、表面的には年齢制限(厳密には一定要件が満たされない限り違法)を設けていても、アプローチ次第では相手にしてくれるところもあります。苦戦の要因を外的な要素に転嫁するのは容易いですが、結局のところ、己のキャリアを切り開くのは己でしかないのです。私自身もそうですが、我々の世代にとっては、己にどれだけ厳しくなれるか、どれだけ勇気を持てるか、が大きな課題ですね。