部下の能力を最大限に引き出すことこそが中間管理職の任務と言っても過言ではないわけですが、人間には感情とか思考とか、色々と厄介なものが備わっていて、機械のようには動いてくれないものですね。なにぶん総論的なご相談につき回答が長くなりますが、以下に幾つかのポイントを列記させていただきます。ご参考になれば幸いです。
■権力を振り翳さない
人を動かす第一歩は、まず権力を振り翳さないことです。部下を対等な「人」として認めることですね。肩書も役職も所詮はただの役割分担であり、組織の指揮系統を明確化するための符丁(ふちょう/記号の意)に過ぎません。権力を振り翳すのは自分に自信がない顕れ、そもそも「人」としての価値はみな平等なのです。
■強要ではなく励ましを
強要で動くのは無能なロボット社員です。生身の人間は自らが目的を理解し、使命を納得しなければ動きません。指示とは命令を下すのではなく、目的を明確にし、動機付けを行い、使命感を沸き立たせ、迷いや不安を拭うことなのです。
■相手の思考や性格、行動特性を掴む
人は各々に思考や性格、価値観や行動特性が異なるもので、相性の善し悪しが人間関係の阻害要因となるわけですが、注意すべき点は、己の思考や価値観、行動特性を絶対的なものだと思い込まないこと、自己の経験則をそのまま部下に押し付けないことです。相手の発言や行動をできるだけ好意的に解釈し尊重すること、意見が対立しても追い込まずに対話の糸口を見いだすこと、指示を出すにもアドバイスを贈るにも、相手の思考や性格、価値観、行動特性を良く見極めた上で、相手の立場、目線で行いましょう。
■部下の能力・適性に応じた仕事の分配を行う
前項とも連なるのですが、同じ「できない」でも「やる気がない」「方法がわからない」「能力が足りない」等、ケースによってアドバイスが異なります。やる気がない場合は目的や使命を理解・納得させるための働きかけが足りないわけですし、方法がわからないのであれば、ヒントを与える必要があります。また、得手・不得手は誰にでもあるものですが、不得手な仕事ばかりを強いてただ「頑張れ!」では、どんなに能力の高い部下も腐ってしまいます。部下の能力を最大限に引き出すには、まず適性を正確に見極め、得手に嵌まる仕事を中心に据え、自信を蓄えさせることが肝心です。勿論、力を付けてきた部下には、より難易度の高いミッションを課し、能力を更に伸ばしてやる必要があります。
■褒めるべきは褒め、叱るべきは叱る
社員教育や部下の教育に於いて(子供の教育に於いても)、最近はどうも「褒めまくれ」が通説のようです。確かに、誰しも自分を褒めてくれる相手には好意を抱くものですし、短所を糺すよりは長所を伸ばす方が簡単なのですが、褒めれば付け上がるのが人の常、私見を申し上げるなら、褒めるべきは褒め、叱るべきは大いに叱らねばならないと感じます。要はメリハリが大切だと言うことですね。但し、叱る際には正義感や倫理観など、叱る側に私利私欲に囚われない厳然たる裏付けが必要です。
■信頼関係の構築には仕事を離れた付き合いが効果的
この点については賛否両論あるでしょうが、仕事上の付き合いのみに留まる人間関係はどうしても上辺だけの希薄なものになりがちです。鎧を脱ぎ、胸襟を開き、上司でも部下でもない、生身の人間同士として本音で向き合ってこそ、真の信頼関係は生まれるものです。