「無謀」とは、読んで字の如く「計画無しに、後先を考えずに」という意味で使います。何かを成し遂げるには、それなりのプロセスが必要です。情報収集、理解者、協力者、知恵、技術、才能、情熱、努力の積み重ね、運・・・。失礼ながら、ただ「やってみたい」という単なる憧れや思いつきだけで「無謀か」と問われたら、筆者には「無謀です」としか答えようがありません。
「未経験だから無謀」「Iターンだから無謀」という意味ではありませんので、くれぐれもお間違いなく。どんな仕事であろうが、未経験で、しかも地脈も人脈もないIターンでの転職となれば、その苦難は測り知れないものがあるのは当たり前です。一方でその苦難を乗り越えようとしている人、乗り越えた人もたくさんいます。問題は、その苦難の一端をもご自身の眼で垣間見ようとしないまま、安易に机上でキャリア選択の是非を求めようとするあなたの「無謀さ」にあることに気付いて下さい。
そもそも何故あなたは「田舎で農業を」と思い立ったのでしょうか?
自然派志向、アウトドアブーム、また都会での人間関係の軋轢を嫌ってか、昨今では田舎暮しを志向する人が増え続けています。ですが、レジャーや気分転換で田舎を訪れるのと、そこに根を張って永住するのでは全く勝手が違います。まず第一に人間関係。田舎の人間関係は純朴ではあるものの、その分濃密ですから「人付き合いが嫌いで田舎へ」という方は必ず失敗します。しかも農業となれば、なかなか思うに任せない自然が相手です。全くの素人が見様見真似で始めた場合、土地探しから土造りまでで三年はかかると言われます。更にある程度の作柄を得て収入を得るようになるまでどうやって生計を立てるのか。その他にも教育環境や医療環境など、もし家族をお持ちなら、色々とクリアしなければならない問題が山積みです。
私見を申し上げるなら、人が生きて行くための原点である農業、より広義での農林水産業、第一次産業はもっと見直されなければならないと感じます。世界広しと言えども、これだけ四季ある豊富な自然に囲まれた国に暮らしながら、いつしか利便性の追求にばかり傾倒し、その恵みに気付かず、享受し、共存することを忘れ、破壊し続けている愚かな国はないでしょう。後継者不足による廃業の連鎖、今や20%台にまで低下しつつある先進国断トツ最下位の食糧自給率、幾ら安価とはいえ、我々が日々食しているのは農薬に汚染された輸入野菜や輸入肉ばかり・・・。あなたの志が真であるならば、是非チャレンジして戴きたいと思います。