答えは簡単です。「生きるため」ですよ。
人間が生き続けるためには、衣食住が確保できること(生理的欲求や安全の欲求)の他に「自己実現の欲求」が満たされる必要があります。生活を営む上での金銭や物資の確保も「なぜ働くのか?」のひとつの答えではあるのですが、これだけでは獣と同レベル、人間が獣と違う点は、何よりも「考える動物である」ということです。
では「自己実現の欲求」とは何でしょうか?
マズローの法則に依れば、人間という生き物、生理的欲求や安全の欲求が満たされると、次は社会的欲求、即ち「仲間はずれにされたくない」「周囲から認められたい」という欲求が頭をもたげ、次第にそれらが満たされると、困ったことに、今度は「周囲と同じではイヤ」という自我の欲求が湧いてくるそうです。そして、それを突き詰めて行くと、やがて「自分はこうありたい」の次元に突入します。これが「自己実現の欲求」というわけです。「なぜ働くのか?」の悩みは、決してネガティブなものとして捉えてはいけません。あなたが人生に於いて最高のステージに差し掛かっているという喜ばしい事実を示すものであり、あなたの精神的な成長の証なのです。
「自己実現の欲求」を満たすために・・・
第97回(4月18日)で「天上天下唯我独尊」という釈迦の言葉を引用しましたが、この境地こそが「自己実現の欲求」を満たす大いなるヒントです。筆者は「自分にしかできないことを極めるのが至高のキャリアである」と申し上げましたが、これはなにも「特異な仕事をせよ」という意味ではありません。日々の仕事という、日常のほんの狭い領域に於いてでも、「明確な目的意識を持って臨み、創意工夫を凝らす」のと「与えられた仕事を受動的にそつなくこなす」のとでは、意味合いも成果も周囲への働き掛けも大きく違いますよね。この世では誰しも一人ひとりがかけがえのない尊い存在なのです。この世に生を授かった以上、一人ひとりに何らかの尊い使命があるのです。苦悶の中にも視野を広げ、己の尊い使命を見いだすこと、それこそが「生きる」ということなのですよ。